■ 『ラッピングバス』事件


 2000年4月から東京都営バスに、「ラッピングバス」という、全面広告バスが走り始めました。

 新しく都知事となった石原慎太郎氏の広告収入増加のためのアイデアにより、これまであった条例規制 (車体利用広告は表示面積1枚につき、0.3u以下、枚数は後部も含めて3枚というもの) をあっさり変更し、全面広告が登場となりました。前面や窓、屋根面意外は全て様々な広告柄の「シール」で覆われたバスです。



各種ラッピングバス

1981年春、「目立てば利用者が増える」との考えから、都バスが黄赤に塗られ、全体の1割(百数十台)が走り始めた段階で、色彩の専門家や利用者などから批判の声が上がり、大型公共交通機関の色彩として交通安全の面からも相応しくない配色であるとの意見をまとめて都に提言したのが、私たち『公共の色彩を考える会』の活動の始まりです。
 この時は、都が公共交通機関としての色彩を考慮して見直し、現在運行されている緑を基調としたカラーリング改修されました。

 この『黄赤バス』の時に比べ、今回のラッピングバスの一般の関心は低く、個々の広告デザインに対する好き嫌いの評価に関心が集まり、全面広告の是非を問う声は少なくなっています。

 前回のような「デザイン」や「安全色」というわかり易い問題ではなく、「屋外広告物」と「公共交通機関」のあり方の問題である為と思われます。専門家によるデザイン審査をしているとのことですが、その様なことは信じがたい広告デザインのバスが走っていることも事実であり、東京都の規制緩和により、続けて様々な大型交通機関がラッピング広告を始めています。


 この「ラッピングバス問題」は、以下の様なことが主な問題ではないでしょうか。

    1.屋外広告物規制を無視した、都市景観の悪化
    2.審議会で討議されたことにはなっているが、
      事実上、都知事のトップダウンの案であり、
      都民に充分な経過報告がなされなかったこと

    3.近づいて前面を見なければどこのバスかわからなくなった
      という事は、利用者に対して不親切であり、
      高齢者や弱者も多く利用する交通機関としての
      あるべき意味が根本的に間違っていること

当会の中でも議論を重ね、また2000年夏には会員全員にアンケートを行い、その結果 を踏まえて、2001年2月に東京都に「都バス車体利用広告に関する具申書」を提出しま した。

当会では増え続ける「動く公共物のラッピング広告」に対し、1つ1つ世論へ向けての問 題提議を行い、中止を要望し、市民にとって心地良い公共空間の色彩とはどうあるべき  かを問い続けていくつもりです。


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